So-net無料ブログ作成

『探偵ナイトスコープ』で超巨大長靴(ながぐつ)を製作したシバタ社員の心うたれる裏話 [名リーダーを思う]

始めに

 九州朝日放送で平成29年2月11日2445~表記が放映された。

 そのあらすじは「大阪に住む身長195cm、体重155kgの男性英語教師(或いは関係者であったかもしれない)が父の農作業を手伝うため長靴を作って欲しいと同番組の探偵に訴えた。同探偵はシバタ社を探し出し、依頼の為本人を同行して来社した。技術部の佐伯さんと履物事業部の程野さんは作った事のない大きさに困惑しつつも引き受けた。1回の採寸で2週間後に現場の田圃へ持参した。待っていた男性はその場で履いて田圃へ入リ喜んだ、製作担当の二人は胸を撫でおろした。」というものであった。

 視聴後、私は製作を担当された二人の放送されていない苦心談をお聞きしたいと思った。きっとあるはずと思った。やがてその思いはお二人にお話を聞かせて頂き叶えられた。お聞きした苦心談は目から鱗であった。

物凄いプレッシャーに打ち克った

 依頼者とのコンタクトは採寸時の1回のみ、納品は2週間後現場で、という制約があった。従って一回採寸のデータを頼りに作らねばならない。その上(本人とコンタクト出来ないので)作った靴の足合わせが出来ない、更に他の人に頼もうにも大きすぎて試し履きをする人がいない。納品の模様はTVで現場中継されるので失敗出来ないという物凄く厳しいプレッシャーがあった。

 そしてそのプレッシャーは以下の3つの問題で限りなく増幅された。1つ、大きすぎて、「シューフィッター」(後述)専用のメジャーで測れない、専用の型紙に収まらないので微細なデータが取れない。2つ、大きすぎて製作用の型がないので型作りから始めなければならない。3つ、今シバタ社にある最大の32cm用の型を基準にすると重心が後ろになり(踵重心)履いた時後ろに反り返り、農作業に不便である。


二人の紹介

 製作を担当した二人のうち技術部の佐伯さん(写真左)は唯一人の特注品担当。顧客の色々なニーズに応えて来たシバタ社ならではの熟練の職人さんである。もう一人の生産部履物生産技術課の程野さん(写真右)は顧客のニーズに応える「シューフィッター」の資格を持つ足と履物の専門家である。
 程野さんがデータを掴み、佐伯さんが作る。途中でキャッチボールをしながら製作した。

IMG_20170310_133127 二人.jpg

足のデータを掴む

 先ず程野さんの採寸、足のデータ掴みから始めた。しかし、「シューフィッター」専用のメジャーでは(メモリ以上のサイズであり)測れない。足の下に敷く専用型紙に収まり切れないので正確で微妙な形が掴めない。仕方がないので普通の捲き定規で最大限に正確な長さや幅を図った。形はカーペットの上に普通紙を置きその上に立って頂いて掴んだ。そのへこみや足の汗の付き方で足全体の形や指の形・間隔等を掴んだ。固い床の上だったらこうは上手く行かなった。足の甲の高さやふくらみなどは目視で目に焼き付けた。足のサイズは94~5cm。

型を作る

 長靴は型にゴムを張り合わせて作る。シバタ社にある長靴の最大の型は32cmである。従って型作りから始めなければならない。この型作りが難題であった。32cmの型に継ぎ足して程野さんが採寸したデータと眼に焼き付いた形状をここはこう、そこはそうと伝え、佐伯さんが柔軟性のある可塑性の材料(名前を聞き漏らしたので)で形を作り上げて行った。

 程野さんの「シュ--フィッター」としての見極めの眼とそれを形にする佐伯さんの職人の技夫々の冴えがあった。

踵重心を正す

 踵重心を正すには長靴を置いた時の立ち姿に履いた人のイメージを重ねて靴底の高さ、踵の高さを決めなければならない。どのくらいが良いかは佐伯さんの職人としての勘そのもの。特に今回のように超メジャーなお客様は佐伯さんをもってしても勘を働かせるのが厳しかった。結局は32cmの靴底に画像の指差し点の厚さの踵底を張り足し、お客様にご満足頂いた。

IMG_20170310_133342探偵踵.jpg


履ける長靴を作る

 最後に足が入らなければ駄目、そうかといってだぶだぶでも駄目である。結局佐伯さんは2種類の大きさの中敷きで調整できる範囲(の誤差)で仕上げた。即ち小さいほうの中敷きで履き具合をみてまだ余裕が有れば大きいのに変える。将にたった1回の採寸で足合わせもない、試し履きもない状況でこの精度の製品を作り上げた。

IMG_20170310_133547 探偵中敷きsyukusyou.jpg

終わりに

 お話を聞いて、与えられた条件の下でベストを尽くしてニーズにあうものを作りだし顧客満足を達成しようとする高いモノ作りのマインドと現場力を感じた。苦心・苦労に立ち向かい克服する姿に会社へのロイヤリテーや自分への誇り等諸々の真実があると感じた。

 見間違い、聞き間違い、記憶間違いで不正確な記述があるかもしれない。その節はお許し頂きたい。

 以上
nice!(0) 

nice! 0

メッセージを送る