So-net無料ブログ作成

陸上自衛隊幹部候補生学校BU課程卒業式と東日本大震災派遣を思う [名リーダーを思う]

平成23年12月14日 福岡県久留米市の陸上自衛隊幹部候補生学校第92期BU課程の卒業式が行われ、今春大学を卒業して、4月同校に入校した幹部候補生344名が巣立ち、全国の部隊に赴任していった。Bとは防衛大学校をUとは一般大学出身者を指す。

この式典に出席した私は卒業式に大きな感動を覚えた。その感動の一つ一つは何故東日本大震災で、自衛隊がかくも高い評価を受けたか?に繋がると思えてならない。

概要

卒業式は1015~1140 講堂で行われた。約430名の父兄のすべては収容出来ず、100名ぐらいの方は隣の武道場でモニター見学。例年に較べ遥かに多数の参加。東日本大震災災害派遣での活躍で、関心度が高かったようだ。

DSC_3349 (640x425).jpg

ご覧あれ!晴れ姿

厳しいハードな全課程をクリアして無事に迎えたこの日、猛烈に頑張ったわが子、きりっとした候補生姿に、父兄は頼もしい思いを持ったに違いない。防衛大学出身者の父兄は長かった5年の歳月を思い、一般大学出身者の父兄は8ゖ月前不安そうに家を出た我が子の逞しく成長した姿に安堵の思いをしたであろう。更に厳粛な式典に国家の期待の大きさも感じたに違いない。親思う心に勝る親心とか。古いかもしれないが孝心は国家への忠誠心(使命感)と共に志ある武人の持つべき両全の心と福島大尉は「快楽説」の中で言う。その大意は「一生の中で大事をなし、名を後世に残すことこそ自分の快楽であり、そのことが忠孝両全の途。」
東日本大震災は個々の自衛官の人生にとってどんな意味を持つのであろうか? 父兄はどんな感想をお持ちだろうか?そして目の前の父兄は?

福島大尉もかって士官学校卒業式に父親の参観を得た。この様子を「略 此の盛典に際し予が父上が一禿頭を衆観客の前に出し王侯大臣列座の前に予が名誉なる動作進退をなせるを見るを思えば転々感涙に堪えざる者ありしなり」(小事実実録)と語っている。親を安心させたい喜ばせたいと思う心は”他の誰かのために・・”の出発点である。人の痛みに心を配る原点でもある。東日本大震災、派遣部隊・隊員の被災者への思いやりの底流に孝心あり。

美しい、確かな基本(動作)

先ず、大きな声で国歌斉唱。これだけの迫力と敬意溢れた君が代はなかなか聴けない。ついで卒業証書授与に移る。区隊(30数名が一単位)毎、壇上に一歩間隔で前進、先頭は校長の一歩前で停止。これに先立ち校長の左に立った副官が344名分の卒業証書を取りやすい位置に置く。副官が先頭の証書を取り上げ、校長がすぐ取れる位置に差し出す。それを確認して区隊長が名前を呼び上げる。校長は証書を取る。名前を呼ばれた候補生は元気よく『はい』と答え、校長の前で右向け止まれ、正対。背すじおなかの線がまっすぐのび綺麗だ。肥満者は一人もいない。一目で訓練の厳しさと耐えた強さが分る。父兄も感じたはず。差し出された証書を候補生は両手で受け取る。『ありがとうございます』と言って、手首を起こし、目の高さに持ち上げ、左わきに左手で抱え込み、左向け前へ。挙措も流れるようで無駄がない。良く訓練されている。学校の候補生教育に取り組む真剣さが伝わる。区隊長は次の者の名前を呼び上げる。勿論メモなし。まじかに見るので良くわかる! 

見事な形式美、美しい、確かな基本動作である。特に一般幹部候補生の父兄は驚いたはず。これは『基本に忠実であれ』の一つの具体例に過ぎない。まずは元気と挙措の基本動作で部隊に新風を吹き込む存在であって欲しい。常に任務・状況・周囲の人々等に正対する基本を身に着けて欲しい。東日本大震災では被災地・被災者に向き合う自衛官全員の真心が感動を与えた。

感謝

証書をもらう際の『ありがとうございます』は344名夫々の思いがあったと思う。誰とのどの場面を思い浮かべたであろうか?
区隊長の顔を浮かべた人も多かったと思う。初着校当日、出迎えた候補生に対し、区隊長は顔を合わせた途端、続々と着校する一人一人に名前を呼び掛ける。候補生は当然驚き、感激する。修学の大きな励みとなったであろう。まだ見ぬ候補生の写真を見て覚える等は職員の熱意の氷山の一角に過ぎない。自分を育て、支えてくれる人の何気ない行為にその心を感じる感受性と感謝の心を。学校長の式辞の中で『感謝と誇りを持て』は愚直たらんとする自衛官に必携の精神。自衛官の愚直さは東日本大震災でも十分発揮された。

謙虚

陸幕長と学校長は式辞で『東日本大震災での自己の行動』について一切言及されなかった。父兄の多くは陸幕長、学校長共に今回大活躍をされたことは承知していたはずである。手柄話と誤解されることを恐れたのか、むしろ候補生に謙虚であれと教えたかったのではないかと思う。 ヒーローはいらない。陸上自衛隊というチームがいざと言う時、いつ来るかわからないその時に機能するために必要なのは一人一人の謙虚さ。

使命を受け継ぐ心

校歌を在校生、卒業生が一緒になって歌う。『烈日燃えて』の行進曲にのって卒業観閲行進。門出のセレモニーでもある。『烈日燃えて』は前の校歌。先輩からズッツと引き継がれてきた。歌を通して心がつながる。「はつらつと心は燃えて 日本の平和を守る」、「つわものの誠ささげて 日本の御楯とならん」、「明日もまた歩武堂々と 日本の未来をひらく」(以上校歌)。「練磨の技は鉄も断つ 日本に若き力あり、我らは陸上 自衛隊 桜と競え候補生」(前校歌:烈日燃えて)。自分の代では陽の目を見ないかもしれない。しかし、いつ来るかわからないイザに備えて心と体を鍛える。その心を切れ目なく引き継ぎ、そのいざに遭遇した誰かが使命を果たす。それは防人の昔から今に変わない。歌でその心を確認しているのだ。本日で卒業生約5万1千名に新しい力が加わり、新しい輪がつながる。

結び
今年の過程教育の特徴は何と言っても東日本大震災派遣の年に行われたこと。しかし課程教育はかかわりなく進められた。だからと言って関係がないわけではない。私なりにこの卒業式で課程教育と東日本大震災派遣との繋がりー高い評価の答えを探したーが正直な感想であった。

大きな節目となる卒業式に立ち会え、大感動の1日であった。私の人生に又新たな”楽しい”が加わった。感謝!


関連:福島泰蔵大尉の実行力を訪ねて

以上

追記(続き

謙虚について補足をしたい。

ブログ”福島泰蔵大尉の実行力を訪ねて、何故八甲田山か?その5強い心の芯ー真心を思う”で福島大尉が謙虚であれたのは私心を捨てていたから、更に私心を捨てきっていたので真心は曇りなく伝わった。と述べた。加えて、何れ述べることになるが福島隊(弘前31連隊)の八甲田山雪中行軍が成功し、青森5連隊が遭難した。その成否を分けた要因の一つが嚮導(道案内)を使ったか否かがある。福島大尉は知らないことは知らない、わからないことは分からないと自覚している即ち私心がない謙虚なリーダーであった。これらの事例は私心がない謙虚なリーダーはことをなすー何か事をなさんと志す者は私心を捨て謙虚であれと教えている。


nice!(0)  コメント(1) 

nice! 0

コメント 1

青木 一久

ブログ拝見ささしていただきました!
この卒業式に私の子供もU課程で卒業しました。
確かに、3月末に幹部候補生学校に着校するために、地元の駅から不安そうな表情で出ていきました。
しかし、9ヶ月後の12月には、別人の我が子が、卒業式会場に居ました。
卒業式後の卒業生見送り行進で、候補隊隊長が卒業生に述べていた言葉を思い出します。着校時は、みんなてんでバラバラ、自己責任も何もない状態、しかし、今、自己責任と任務完遂度は完全な状態に変わった!
この先どうなるかわかりませんが、静かに見守りたいと思います!
PS.91期BU課程ではなく、92期BU課程です。
by 青木 一久 (2012-08-01 14:15) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

メッセージを送る